初級編2:セッション>シナリオ


 セッションハンドリングを論じるにあたって、まず心得ておいてもらわなければならないことがある。
 前節でシナリオを元に、って書いたけど、この前提をわかっておいてもらわないと上手く説明できないんだ。
 それは、シナリオが至上ではないってこと。シナリオよりもセッションの方が重要なんだ。
 シナリオは、あくまでもセッションを行う上で必要なもの。シナリオがなくてもセッションが上手く行えるなら、はっきり言ってシナリオは必要ないんだな。まあ、もっとも、シナリオがないとセッションが上手く行えないから、シナリオは必要なんだけど。
 でも、シナリオが絶対ではない。シナリオはあくまでも事前準備なんだ。シナリオには全ての可能性を示すことはできない。PCっていうのは平気でGMの想像の上をいくからね。まあ、そこが醍醐味であり、面白味でもあるわけだけど。
 でも、初級者GMが陥りやすい罠がシナリオに準じてしまうってことなんだ。
 何の問題もない時であれば、当然シナリオに準じるのは悪いことじゃない。むしろ、そうすべきである。だけど、必要以上にシナリオに沿って進行しようとするのは間違いだ。そこにはセッションで得られる楽しみを半減させてしまうことすらあるからだ。
 シナリオ至上主義のGMは、自分の思惑外の行動をPCが行うと、全力でそれを阻止したりする。その先のことがシナリオには書いてないし、その方向に進むとシナリオに記載されているストーリーと違ってくるからだったりするんだろうけど、それは間違いである。
 PCの行動は絶対だ。その行動を不条理に妨げてはならない。まあ、PCがどう考えても誤った方向に進んだ場合は、当然の報いを受けるだろうけど。
 1つの難題に対し、シナリオには解答がいくつか用意されているだろうけど、他の解答もあって然るべき、それがTRPGだ。そして、そのシナリオに用意されていない方法によって進行していくことこそ、いい意味でGMが裏切られた瞬間で、それが面白いのだ。
 よく、一本道シナリオって言葉を耳にする。これは導入からエンディングまでのストーリーがすでにシナリオに用意されていて、その他の選択肢を認めていないってシナリオだ。でも、GMが考え出したストーリーが絶対で、それ以外に道がないのだとしたら、それはTRPGで遊ぶ必要があるのだろうか? GMにはあるのかもしれない。でも、PLにはないんじゃないだろうか?
 もし、そうしたシナリオを遊びたいなら、そのストーリーをPLに事前に提示して、予定調和的に遊ぶ方がいいかもしれない。ぼくがPLだったら、そんなのやらないけど。
 では、どうするのがいいのだろう。
 それは、セッションを進めながら、シナリオに書かれていることを現在のセッションの方向にあうように軌道修正をしながら遊ぶってことなんだ。
 そこが、セッションハンドリングの肝の部分なんだ。そして、まさにこれがGMの楽しみでもあるんだね。同じシナリオでも、セッションの度に違う話ができあがる。
 それに、参加したみんなでお話を作り上げることができるんだから。

 さて、それじゃあ、どうやって軌道修正をしていけばいいんだろう?
 そのための方法を次からは説明していきたい。


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