初級編3:マスタースクリーンを活用しよう


 マスタースクリーンって知ってる?
 厚紙でできた衝立てで、外側にはPL用にデータやチャート、内側にはGM用のデータやチャートなどが印刷されている。
 データやチャートだったら、ルールブックがあればいいし、自分でサマリーを作ってPLに配ればいい。だったら、ちょっと便利なだけであまり必要ないかな、って思うかな?
 マスタースクリーンにとって、そのデータやチャートなんていうのは副次的なものにしかすぎないんだよね。一番の活用は何と言っても、スクリーンとしての活用なのだ。
 つまり、机の上に立てて、PLからは覗き見ることのできない、GM用の空間を作り出すことなんだな。
 で、そのGM用の空間には、PLに見られちゃまずい資料なんかを置いておくわけだけど、それだけだったら大したことじゃない。一番の利点はダイス目をPLから隠せるって点にある。
 つまり、GMが判定でサイコロを振る場合に、オープンダイス(PLにも見せる)とシークレットダイス(PLには見せない)の2通りの方法が使えるようになったってわけ。
 実は、このシークレットダイスっていうヤツが重要なんだ。
 演出で判定を行いたい時、NPCやモンスターの強さを隠したい時、戦闘でPLに手心を加えたい時など、悪く言えば「ダイス目を誤魔化す」必要がある時に、シークレットダイスは大きく貢献する。
 シークレットダイスの活用とその注意については、次節に詳しく述べるけど、とにかく、このシークレットダイスっていう奴は、セッションハンドリングを行う上でかなり助けになってくれる。ただ、注意点としては「都合が悪いから全てダイス目を誤魔化してしまえ」って言ってるんじゃない。あくまでも「判定の結果」として行動を演出したい時に有効だってことなんだ。
 また、ダイスの空振りっていうのも効果がある。さも何か判定しているかのようにPLに思わせることができるんだな。
 たとえば旅の途上、ある程度モンスターが出る可能性があるような土地だったとする。GMとしては戦闘は行う気はない。でも、冒険者とは思えないほど無防備に旅をしていたとしたら? 夜に見張りもつけずに寝てたとしたら?
 戦う気はなくても、GMは「じゃあ、朝まで寝るんだね?」と言いながら、サイコロを3回ほど振るんだ。もちろん、出目に意味はない。だから、出目は見えないようにシークレットダイスで行う。それで、「何もなく朝になった」って言えば、PL達は翌日の夜には警戒するようになるんじゃないかな?
 ダンジョンとかでもそうだよね。PLに何かあるんじゃないか、と思わせるのは有効な手なんだ。警戒するだけじゃなく、好奇心も持ってくれるからね。それを利用して、仕掛けに導くことだって可能だと思うよ。
 逆に、意味を持つ判定を行う場合、オープンダイスを使うといいんだ。
 シークレットダイスで隠してきたがために、このオープンダイスというのはPLも同時にGMの判定を楽しむ、という効果があるんだな。
 その際には、出目がどれぐらいで判定がどうなるか、というのも宣告するといい。
 特に、最終の戦闘なんかではオープンダイスをオススメする。次節でシークレットダイスによる戦闘バランスの取り方を説明するけど、そうしてバランスが取れた状態で最終戦闘に向かえば、オープンダイスでGMの出目にも一喜一憂して楽しく戦闘ができると思うよ。
 また、判定に成功したかどうかPLが分からない場合には、GMがシークレットダイスで判定することが多い。また、そうするようにとルールブックで書かれている場合もある。
 おっとっと。マスタースクリーンじゃなく、オープンダイスとシークレットダイスの話になってしまっているね。
 では、この続きはそれぞれの節に譲るとしよう。
 で、マスタースクリーンに戻るけど、マスタースクリーンを入手できなかったら、何でも代用は効くんだ。要は、ダイス目がPLから見えない状態を作り出せればいいんだから。ファイルを立てるのでもいいし、机の下で振ってもいいし。
 マスタースクリーンを使って、オープンダイスとシークレットダイスという二つの判定方法を手に入れる、これがセッションハンドリングを楽にする方法の1つなんだな。
 というところで、次節はシークレットダイスの説明をしよう。


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