初級編3:「シティ」の定義教えます


 さて、「ダンジョン」だけじゃシナリオは面白くならないのは、前節で述べた通り。まあ、「ダンジョン」だけでも、やりようによってはかなり面白く遊べるんだけどね。それこそウィザードリィのように。
 でもまあ、「ダンジョン」ばっかり作ってるのも大変だ。ネタも無尽蔵ではないしね。
 そこで、「シティ」の出番となる。「シティ」が街だって意味なのはみんなの知っての通り。だけど、ここでの「シティ」は街って意味だけじゃない。ことシナリオ作成手法において、「シティ」とは次の要素を満たしていることをさす。
 その要素とは、「ある特定の場所」の位置が明確であり、「何があって何がないか」が不特定である、ということと「いつどこに行けば何が起こる」かが決まっている、ということである。
 無理して要約したんでよく分らないかな。詳しく説明すると、次のようなことである。
 まず、PCたちが行くことのできる場所が、ある程度の不確定さで定まっている。つまり、「宿屋」があって「酒場」があって、「武器屋」がある。とか、そういった具合である。それらの設定が細かく決まっていなくても、この際には問題ない。
 PCに尋ねられてから、それからあるかどうか考えてもいいのだ。ただ、実際に「存在する」とした時に、その場所を特定しなくてはならない。「ダンジョン」ほど明確にする必要はないが、「メインストリート沿いに」とか、「どこそこの公園の脇」とか、そのレベルでの特定があればいい。つまり、実際に地図がなくても、情報を仕入れればPCがそこに行くことができればいいのだ。
 この「セッションが始まってから存在を確定する」のは、セッションハンドリングの分野になるが、その指針となるのが、その街の設定である。これは、シナリオ作成時に決めておく必要がある。つまり、その街がどの程度の規模で、どのような治世下にあるか、といったようなことである。これが定まっていると、実際のセッション時に急遽店などを出しやすい。(慣れてくると、それすらもセッションハンドリングで行える)
 これらの多くは、PCの要望によって行うべきもので、そのための下準備をシナリオ作成時に行っておこうというものだ。急に店などを出すのが苦手な人は、1〜2つぐらい、店の設定を考えておくとよい。そうすると、PCが急に「武器屋に行く」とか言ったときに落ち着いて対処できる。
 次に、「シティ」では、ある時にある場所に行くと何が起きるか決まっている、ということがあげられる。これは、イベントを配置する、ということである。「ダンジョン」でも部屋にアイテムやモンスターを配置して行うが、「シティ」でも当然それを行う。
 ただ、ここで「ダンジョン」と違うところは、例外はあるにせよ、「ダンジョン」ではその場所にPCが到達すれば、そのイベントが発生するのがほとんどである。
 しかし、「シティ」の場合では、そこでイベントが発生するには「条件」が設けられているのがほとんである。なぜなら、「シティ」というのは「人との交流を持つ場所」という意味付けもあるのだ(をぉ、新たな要素が出てきたぞ)
 つまり、人との関わりによって発生するイベントが多い、ということだ。イベントが発生するには、そこにその人がいることが前提となる。
 つまり、酒場で事件が起きるとしても、酒場の開いていない時間に行ったって駄目だってことだ。「シティ」を作るに当たっては、時間というものが重要になってくる。
 「シティ」がシナリオの中で使われる時に多いのは、情報収集というフェイズだと思う。その際にどのように情報を配置していくかが、「シティ」を作る際の重要なポイントになってくる。「シティ」アドベンチャーシナリオを作る際の細かい注意は後述するので、それを参照してほしい。
 「シティ」をうまく活用すると、それだけでシナリオが面白くなる。ものによっては「シティ」だけっていうシナリオだってあるしね。「シティ」は、イベントマップという使い方もできる。いつどこで何が起きるというイベントを「シティ」の各地に配置しておくのだ。そして、PCがそこに到達すると、次々にイベントが発生していく。勿論、セッションハンドリングで誘導することが重要になってくるけどね。

 さて、「シティ」で情報を収集して「ダンジョン」に旅立つことになったけど、その間ってどうなってるんだろう? 「シティ」に「ダンジョン」が隣接してるのだろうか?
 そういうことだってあるけど、そればっかりじゃないよね。つまり、「シティ」から「ダンジョン」への移動が必要になってくるよね。拠点と拠点を結ぶ場所、つまり「フィールド」が必要になってくる。というわけで、次節では「フィールド」について説明しよう。  


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