第六章:実際の雰囲気


 さて、今までの章では、TRPGというものを考察していたわけだけど、実際にTRPG知らない人間からすれば、見たこともないものの理論を叩き込まれてたわけだ。
 不親切極まりないね、よく考えたら。
 よって、この章からは実際にどんな感じにゲームが進んでいくかを述べていこうと思う。
 さて、TRPGの実際のプレイの現場をのぞいてみよう、そうしよう。

GM:さて、君たちの前にはゴブリン(人型怪物)の一団が現れたぞ。後ろからは別の一団が追っかけてきている。
PL1:どうする? 戦って勝てるかなぁ。
PL2:だーめだって。さっきもそう言って戦ってけちょんけちょんにやられたじゃんか。
PL3:でも、もー逃げ場ないよ。後ろに追いつかれる前に何とか突破すればいいぢゃん。
PL2:じゃ、君たち頑張ってよね。俺、もー魔法打ち止めだもん。
PL1:え、援護ないの?
GM:どーする? ちなみに前の一団はゴブリン3匹。
PL1:やってやれない数ぢゃないっ。やるしかないよ、もう。
PL3:後ろの連中はどれぐらいで追いついてきそう?
GM:そうだね、6戦闘ターンぐらいしたら追いついてきそうかな。
PL3:6ターンでゴブリン3匹。よし、なんとかなる。
PL2:ホントに大丈夫かよ、お前らダイス目とことん悪いんだもん

 そして、彼らはサイコロを振り始めているね。命中判定、ダメージ判定、とか言いつつやってます。まあ、戦闘を行っているってわけだね。結果はどうなったのだろうか?

GM:君たちが3匹目を倒すと、後ろの方から何かが近づいてくる足音が聞こえ始めてくるぞ。
PL1:何か、ってゴブリンだろ。よっしゃ、お前ら逃げるぞ。
PL2:珍しくダイス目走った(いい目が出るって意味)ぢゃん。ちょっと心配してたんだけどな。
PL3:俺はこの先に出口があるかどうかが心配だよ。

 どうやら、彼らは無事にゴブリンの一団を倒したみたいだね。
 と、このように、戦闘の一場面をのぞいてみたわけだが、ちょっとは感じがつかめたかな?
 PL1とPL3は戦闘においては力を発揮する役割を担っていたみたいだね。
 PL2は魔法って言ってたから魔法使いなんだろう。
 彼らは今回は「戦闘」という選択をしたけど、もちろん別の「選択」だってあったわけだ。違う道を探して逃げても良かっただろうし、後ろの一団と戦うっていう手もある。
 前の一団と交渉(脅し?)して道を開けてもらうって手もあっただろうし、戦うにしても1匹捕まえて人質(ゴブリン質?)にするという手もあった。
 そして、どの手段をとったかによって、次の展開は変っていったはずだ。どれが最善だったのか、それは分からないけど、正解は1つではないってのは分かってくれたよね?
 この選択肢の多さもTRPGの魅力の一つだ。
 さて、では次はどんなシーンをやっているのかな?

PL1:さて、ようやっと街に戻ってこれたな。
PL3:ほんとだよ。あー、疲れた。
PL2:俺は早く眠りたいよ。(眠ると魔力が回復する)
PL1:おっと、その前にやることやっておこうぜ。
PL3:そうそう。苦労しただけあって収穫はたっぷりだもんな。
PL2:何言ってんだよ。宝箱開けれたの、誰のおかげだと思ってんの? やっぱり盗賊は必要だね。ほとんど鍵開けで魔力使いきっちゃったよ。
PL1:ま、何にせよ、店に急ごうぜ。
PL3:そうそう。たまったツケも払わなくちゃ。
GM:それじゃあ、きみらは鑑定屋に行くんだね?
PL1:うぃーっす。
GM:それじゃあ、君らが鑑定屋に行くと、見つけた宝を鑑定してくれるよ。鑑定料は鑑定額の5%だからね。

そして、GMは見つけた宝物がどれぐらいの価値のものかPL達に説明しているね。

GM:それで、鑑定料はどうする?
PL1:この宝石とこの宝石を売るよ。そこから鑑定料をひいてもらう。
GM:了解。それじゃあ、差引き700Gだ。
PL3:やったね、これでツケも清算できるよ。
GM:と、喜んでいると、鑑定屋の親父が君たちに話し掛けてくるよ。
「なあ、お前達、ちょっといい話があるんだが。それ、その首飾り。それはな、単品だと大した値ではないが、実は揃いのものなんだよ。リング、サークレット、ブレスレット、そしてそのネックレス。4つが一揃いで、4つ全てを集めると、金額は一気に10倍以上にはねあがる。実は、わしの知ってる好事家がリングを持っていて、残りの3品を集めているのだ。お前達、その好事家にあってみる気はないかね?」
PL2:ほんとか? なんか怪しそうな話だなぁ。
GM:「わしの言うことが信じられんというのか?」と鑑定屋は目をぎょろつかせるよ。
PL2:おっとっと。慌てて口をつぐむよ。
PL1:話を聞くだけ聞いてみようぜ。
PL3:そうだな。話を聞くだけならただだし、そんなに欲しがっているなら、いい値で買い取ってくれるかもしれないな。
PL2:いきなり襲われて奪われるかもよ。ま、とりあえず宿に戻って休もうぜ。話はそれからだ。
PL1:了解。

 こうして、冒険は続いていくみたいだね。この4品一揃いの装飾具はほんとに単なる飾りなのか、実は4品揃うと何かが起こるのかもしれない。GMはどうやらこの装飾具をめぐって繰り広げられる冒険を考えているようだね。

 さて、実際に遊んでいる現場を覗いてみたわけだけど、どういう感じでゲームが行われるか、少しは参考になったかな?
 こういう形態でTRPGのプレイを紹介しているのを「リプレイ」って言うんだ。
 リプレイは本屋さんに結構並んでいるので、1度は目を通してもらうと感じがつかめるかもしれないね。
 さて、次はとうとう最後の章だ。
 最後の章では、上手いプレイヤーになるために気をつけなくてはいけないことを書いてみたいと思う。  


前章へ | 戻る | 次章へ