第四章:システムという名のルール


 さて、ゲームというからにはルールがあるということだが、では、TRPGのルールとは一体どんなものなのか?
 ゲームをやる上で当然必要になるマナーというルールについては、「みんな守ってね」というにとどめておく。まあ、人間関係築く上で必要不可欠なことは守らないとできないゲームではあるのですが。
 では、TRPGのルールだけれど、これは「システム」というものである。
 「システム」には世界設定と判定ルールの2つが内包されている。このどちらかが欠けても、それは「システム」とは言えない。つまり、TRPGというゲームをやる上で必要不可欠なルールは、世界設定と判定ルールである。
 さて、ゲームとしてのルールと、システムに含まれるルール。どっちもルールなので混乱してしまう。そこで、システムに含まれるルールのことを、これからは「法則」と呼ぶことにする。ちなみに、他の話題で「ルール」といえば、システムに内包されるルールのことであると付け加えておく。
 さて、システムだけど、システムって何だろう? CRPGで言えば、各々のゲームソフトにあたるもの。つまり、ドラクエとかFFとか。TRPGのシステムもそうで、ソードワールドとか、ロードス島戦記とか、シャドウランとか、トーキョーN◎VAとかがいわゆるシステム、と呼ばれるものである。
 TRPGのシステムはルールブックという形で売られている。ブックタイプだったり、ボックスタイプだったり、何冊かに別れていたりするけど、含まれる内容はほとんど同じである。
 まず第一に、どんな舞台で遊ぶのか、つまり世界設定である。
 剣と魔法の世界なのか、宇宙が舞台なのか、近未来なのか、どんな歴史があるのか、文化水準はどういったものなのか・・・
 つまり、PLがPCの行動を決める際に絶対に必要になる世界背景である。CRPGを例にとってみよう。ゲームを始めたらいきなりよく分からない世界にいて、「○○王を殺せ」と言われる。選択肢は「Yes」か「No」の2つ。
 こんな状況で、答えを選ぶことができるだろうか? 困って説明書を見ても、どんな世界なのか、そして、○○王が何者で、主人公がどんな立場で、彼を殺そうとする背景は何なのか、まるで書いていない。そんなゲームを楽しめるだろうか?
 だから、世界設定はRPGにおいてとても重要である。PCが行動する上でもっとも大事なものと言えるかもしれない。そして、世界設定によってそのシステムの面白さの半分は決まるといってよい。なぜなら、ストーリーというものは世界設定に則したものになるからである。
 そして第二に、自分の選択した行動の結果がどうなるのか、つまり法則である。
 たとえば剣で斬りつけた時、それがあたるのかどうか、ダメージはどれぐらいなのか。そういった具合に行動の結果がどうなるかを定めるのが法則である。
 法則には、PCがどんなデータで表わされるか、そして、どのようにPCを作成するか、というPC作成のパート。
 判定にはサイコロを何個用いるのか、または、カードを使うのか、どうなったら成功でその時の効果はどんなものか、という行為判定のパート。
 そして、魔法などの特殊な部分を説明するパート。
 そして、各種データのパート。
 PCの成長に関するパート。
 大体、この5つに分類することができると思う。
 そして、この法則というものは、それ自体に面白さもあるし、法則というだけあって全てを司る部分でもある。これらのパート全てが世界の成り立ちを示しており、ゲームの流れを確定しているとも言えるのである。
 システムというのは、世界設定と法則、この両輪があって始めてシステムたりえるのである。どちらかが欠けてもいけないし、どちらかでも面白くないと、それは長い間遊ぶに足るシステムではない。
 たくさんのシステムに手を出し、このシステムはここが面白い、このシステムはここが優れている。このシステムはここをもっとこうしたらいい、などと考えてみるのをお勧めする。そうすると、ルールブックを読んだだけで、そのシステムがどのようなものかつかめるようになってくる。そうすると、そのシステムを遊ぶ上での流れというものをつかめるようになってくるはずである。
 さて、残念なことにTRPGはシステムを手に入れただけでは遊べないのである。なぜなら、CRPGのソフトと違って、システムにはシナリオ、ストーリーがないからである。(サンプルのシナリオがついていることはある)
 さて、では遊ぶためにはどうしたらいいのか?
 次章では、シナリオを用意し、ゲームを切り盛りするGMについて話をすることにする。  


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