第三章:ゲームというからには


 TRPGはゲームである。
 よって、TRPGには他のゲームとの共通点があるに違いない。この章では、他のゲームとの共通点を探しながらTRPGについて考えていこうと思う。
 さて、ゲームというもの全てに共通しているものは何だろう。
 それは「勝敗がある」というものではないだろうか。トランプでも、スポーツでも、将棋でも、ボードゲームでも、ゲームというものには、勝敗というものが存在する。
 では、RPGの勝敗というものはどう決まるのだろう?
 CRPGを例に出して考えてみよう。CRPGをやっているとき、目指しているものは「エンディング」である。つまり、RPGというものは「エンディング」を迎えるためにやっているのだ。そして、勝敗はその「エンディング」がどのようなものか、で決まると言っていいだろう。
 志半ばにしてモンスターに全滅させられたら、「GAMEOVER」となり、セーブしたところからやり直しになる。つまり、その時点で「全滅」というエンディングを迎えたことになる。CRPGの多くはコンティニューできるから気づかないけれど、その時点でもう1度は負けているのである。
 TRPGの場合も同様で、どのような「エンディング」を迎えるかということで勝敗を決している。特に、TRPGはCRPGよりもシビアである。セーブなんてものは行わないし、選択肢が無限にあるので、それだけ事態がどんどん悪い方に向かうことだってあるからである。
 しかし、そこにこそTRPGの面白さがある。つまり、「よりよいエンディング」を迎えるために、今の状況からいかに最善の行動を行うか考える面白さである。
 これで、TRPGというゲームの目指す勝利条件が分かったことになる。

 さて、次には、「役割を果たす」ゲームであるという点に注目してみたい。
 PLが役割を担っているゲームというのは数多く存在する。それは一般に「スポーツ」と呼ばれるゲームである。
 スポーツではポジションという名の役割をPLは果たしている。野球だったら、守備位置と打順がそれにあたる。守っている時には、自分の与えられた範囲をしっかりと守り、攻撃の時にはその時の状況と打順、チーム内での位置付けによって行う攻撃(送りバント、犠牲フライ、強打など)を決めている。
 TRPGでも全く同じである。自分が受け持ったキャラクター(以下PC)の果たすべき役割によって、その状況に応じた行動を行うことになる。戦士なら仲間を守って敵と戦うのが与えられた役割であるし、盗賊なら鍵を開けたり罠を解除したりするのが役割である。
 この「役割」というものは、昔のゲームほど顕著である。なぜなら、昔のゲームの方が「クラス」という名で役割が表されていたからである。最近のゲームでは、マルチに活躍できるPCが用意されていて、「役割」がそこまではっきりとしていない。また、日本のゲームほどこの傾向は強い。その代わり、「役柄」がしっかりと分けられている。水戸黄門でいうところの「黄門さま」「角さん」「助さん」といった具合である。
 野球を引き合いに出すと、「ピッチャー」「四番」という「役割」よりも「エース」「抑えの切り札」「職人」「強打者」「安打製造機」などという「役柄」が前面に打ち出されているということである。
 さて、TRPGと他のゲームを比較する上で忘れてはならないのが、「ゲームにはルールがある」ということである。これについては、次の章で詳しく説明していきたい。  


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