トーキョーN◎VA

 
記念すべきシステム選の第一弾は、トーキョーN◎VAである。
こいつは、私が今までで一番はまったTRPGの世界かもしれない。
ルールとしては、トランプを使った斬新な判定方法に、大アルカナというタロットを用いたキャラメイキングが新鮮であった。
しかし何より、その善悪、貴賎、清濁、その他の全てをも飲み込んでいるトーキョーN◎VAという世界にこそ、私はのめりこんだのではないだろうか。
また、生み出されるキャラクターに魅力があるんだわ、これが。
近未来の都市を舞台にした<アーバンパンク>という謳い文句で、その何もかもがごちゃまぜになったような魅力的な街に、魅力的な人物が集っているわけだ。
左腕にサイコガンを持つ男もできるし、トランプをなげて敵を倒すマジシャンだってできる。ジゴロだってできるし、ちんぴらだってできる。ヒーローから3枚目まで、はてはどーしよーもない野郎まで、ほんとに何にだってなることができた。

ちょっとシステム的な話をすると、キャラ作成には、タロットで表わされる22枚から、3枚を選んで行うことになる。この時、同じカードを選んでその特性を強くすることができるのだ。
そして、カードには想像力をかきたてられずにはいられない名称とイラストが載っている。
カゼ
タロットでいうところのチャリオッツ。
このカードを選んだだけで、暴走族にでも、運び屋にでも、しがないタクシーの運ちゃんにでもなれる。
カブキ
タロットでいうところの愚者。
歌舞伎もの、つまりは芸能関係の人間。ミュージシャン、画家、はてはイッチャッテルタレント。
カゲ
タロットでいうところの死神。
暗殺者、忍び、影に潜むもの、死を司り、闇の社会に生きる者。

たった3枚しか紹介しないが、これら3枚でも無限に魅力あるキャラクターを生み出すことができる。表の顔はロックミュージシャンだが、その実は暗殺者である人物。
幼少より暗殺者として組織に育てられるも、表の、芸能の世界にデビューすることを夢見る者。
闇から闇へと品物を送り届ける裏の運び屋・・・

全く、私の想像力を刺激してやまない。たった3枚でこれである。選択肢はあと19枚もあるのだ。
そして、その1枚1枚のカードが持つ魔力はこれだけではない。これら1枚のカードごとに、特有の能力をキャラクターは有することができるのだ。
カゼであるならば、信じられないドライビングテクニックがそれにあたる。
全くブレーキングせずにUターンを行い、ビルの壁を走り追手をまくことができる。
カブキであれば、一瞬で早変わりを行い別人になりすまし、気の利いた一言を残し、その場から姿を消す。
カゲであれば、影に潜み気づかれずに対象に近づき、ビルとビルを飛び渡る・・・
これら特殊能力もまた、一部に過ぎない。
そして、神業という、人間の範疇を越えた能力を使うことすらできるのだ。

しかし、あえて、私は言いたい。能力に凝るのは、そのキャラクターを魅力的なものに仕上げるためのものでしかない、と。いや、本来の目的から言えば、それら能力はゲームを楽に進めるためのものだ。しかし、キャラクターのイメージにそぐわないものは、カッコ悪さにつながってしまう。だから、私は神業は嫌いだ。

少し、話が逸れるが、私がN◎VAと出会った話をしよう。
私がこいつと出会ったのは、高校の頃であった。
当時からTRPGにはまっていた私は、トランプで判定するという画期的なシステムが出ると聞いて、発売してすぐに早速購入した。
俗に言う1stN◎VAという奴で、家に帰って箱を開けた。
その時の興奮は今でも覚えている。それまでファンタジーしか知らなかった私は、すぐに近未来アクションというものの虜になった。
映画やマンガでしか触れてこなかったものが、TRPGとしてすぐそこにあるのだ。
そして、箱からはとっても綺麗なカードまで出てくるではないか。
すぐにルールブックを読み出した私は、しかし、何度も何度も読み返すことになる。
なぜならルールが難解だったからだ。しかし、読み返すごとに世界が私の中に構築されていった。気づいた頃には、私の中にはトーキョーN◎VAという街ができあがってしまっていた。
とりあえず当時の仲間と何度か遊んでみたが、あまり受け入れられなかった。まあ、それもそうかもしれない。私一人で舞い上がってしまっていたから。
そして、私のトーキョーN◎VAという情熱は、小説となったりして発露していた。
転機が訪れたのはTRPGサークルにはいってしばらくしてからだった。他にもN◎VAにはまっている友人がいて、初めてキャストとして参加した。いや、面白かった。はまりにはまった。
そして、2ndと呼ばれるブックタイプのルールブックが発売されるや、一気に情熱は加速した。
1stよりも遊びやすかったというのもあるが、同じ世界観であり、また、その世界がさらに補完されていたからだ。
そして、何よりも重要なのが、N◎VAにはまった友人が横にいたということだろう。
その当時、あまりにN◎VAにはまったために、特化した性格のいくらかがキャラクター達にむしられていった。おかげで、多重性格者みたいになってしまった時期もあったほどだ。今でも、そいつらは自分の中にいて、表に出る時を待っている。

さて、何を話題にしたかったのかよく分からなくなってしまったが、N◎VAというのは「自分の中にN◎VAの世界を構築する」ことによって面白さが増すゲームなのだ。
だから、ギミックに凝ってはいけない。N◎VAはあくまでも「N◎VAという街を舞台に魅力あるキャラたちが人間関係を構築していく」のが楽しいのだ。
だから、面白い遊び方はこれ。
コネと社会技能をどんどん取る。
そして、コネは自分でキャラクターとして作成する。
シナリオ中、コネをどんどん活用する。
そして、コネを成長させるためにルーラー(GM)をやり、経験点をためる。
たまには、コネとして作ったキャラを主役にしてシナリオに参加する。
そして、自分の中にN◎VAの住人達のネットワークができていくのだ。
そうすると、自分の中にN◎VAという街ができあがっていくに違いない。

はっきりいって、偏ってますよ、あしからず。

さて、ちょっと話題を変えます。
N◎VAは「役柄を演じる」ゲームです。それにつきます。
だから、遊びにくいと感じる人もいるかもしれません。各人が「自分の役柄」に応じた行動をとるのだから。
でも、人間関係の中で求められている「役割」というものもN◎VAの住人にはあるはずです。だから、それを忘れないように遊んでください。
でないと、崩壊しちゃうので。

最後に、3rdもしくはRevolutionについて。
私は、1回遊んだだけだけど、これを遊ぶことはないでしょう。
理由は1つ。
大幅に世界が変ってしまっているから。
私の中にあるN◎VAという街はこれ以降も変ることなく(つまり成長もせず)あり続けるでしょう。そして、そのN◎VAの街というものにこそ魅力を感じているのです。
官憲の力の強くなった、管理体制にしかれたN◎VAなんてまっぴらです。
まあ、詳しく知らずに批判はできないんだけど、ほんとはそんなに変ってないのかもしれないし。
でも、愛してます、トーキョーN◎VA。だって、体の半分はまだそこに住んでいるんだから。

何か、当初考えてたことと全然違う内容になっちゃったなぁ(苦笑)


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