そして時は動き出す


 目覚めた時、私は何もない部屋に存在する自分を感じた。
 部屋という言葉は間違いかもしれない。そこには、天も地もなかったのだから。
 そして、時計が1つだけあった。11時59分で止まっている時計である。
 目覚まし時計のようだった。アナログの時計である。
 私は、その時計を見つめて、どれぐらいの間そこにじっとしていたのだろうか。
 数日だったのかもしれないし、一瞬だったのかもしれない。しかし、それをはかる術はない。時計は止まっていたのだから。
 私はおもむろに時計に手を伸ばした。
 やるべきことを思い出したのだ。
「光あれ」
 私は厳かに宣言すると、時計の針を12時に合わせた。

 そして、宇宙が始まった。  


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